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日射遮蔽・日射取得とは?!

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こんにちは。アティックワークスの北川です。

 

高気密高断熱や高性能住宅をつくるのにあたり、パッシブデザインで非常に大切な

日射遮蔽と日射取得についてまとめてみました。

 

 

日射遮蔽・日射取得の前に

「日射遮蔽・日射取得」で検索をした方々にとって、このキーワードを検索するにあたり、

高気密高断熱や高性能、パッシブデザインというワードからたどり着いたのではないでしょうか?

 

住宅の性能が上がるにつれて、ただ、断熱の性能や気密の性能を上げるだけではいけない。

という事にたどり着き、「日射遮蔽・日射取得」について調べたのではないかと思います。

 

高気密高断熱住宅、高性能住宅にとって「日射遮蔽・日射取得」は

外せないとても重要な項目になります。

 

しかし、そんな「日射遮蔽・日射取得」は日本の断熱性能(UA値)からは少し外れるので、

申請や性能値には反映されません。

 

なので、同じ断熱性能値や同じ気密性能があっても「日射遮蔽・日射取得」が

出来ているお家と出来ていないお家では、室内環境や光熱費に違いが出てきます。

 

また、同じプランであっても南向きなのか、北向きなのか、はたまた東向きなのか?

それによってもおこなう措置が違ってきます。

 

「日射遮蔽・日射取得」はパッシブデザインです。

 

 

パッシブデザインって?

建物の取り巻く自然環境の特性を活かし、エネルギー消費を抑えながら、

室内を快適にするための設計手法です。

 

また、地域の特性やポテンシャルを把握し、活用することも重要です。

 

パッシブデザインに対する設計としては、

断熱・気密

日射遮蔽

日射取得

自然風の利用

昼光利用

などが考えられます。

 

パッシブデザインは日射熱や昼光、風などの自然エネルギーの利用を考えるので、

気象の把握は必須の条件となります。

 

自分たちの建設予定地がどのような場所なのか、地域特性や環境特性など

把握する必要があります。

 

 

日射取得とは?

日射取得とは、その名の通り日射を取り入れる事をいいます。

太陽のエネルギーをうまく活かそうという事です。

 

では、どのようにして太陽のエネルギーを取り入れればよいのか?

 

太陽は、東から昇り、西へ沈みます。

しかし、年中太陽は同じ位置を通り昇って沈んでいるわけではありません。

 

春分・秋分は真東から真西へ。

 

夏至は東より北側から昇り、西より北側へ沈みます。

 

冬至は東より南側から昇り、西より南側へ沈みます。

太陽高度

また、太陽の南中高度も変わります。

春分・秋分は55°

夏至は78.5°

冬至は31.5°

です。

南中高度

 

基本的にはこの動きからどれだけ日射が入るかを考えます。

 

太陽のエネルギーをうまく活かすのですが、このエネルギーは無料の暖房と考えます。

なので、寒い時期はこの太陽のエネルギーがあれば非常に良いということになります。

 

しかし、反対に夏の暑い時期に太陽のエネルギーが室内に入ってしまえば、

室温上昇の原因や冷房への負荷も増えます。

 

なので、日射を取得したい時期と取得したくない時期があります。

 

また、建物は常に真南を向いている訳ではありません。

建物の向きが変わると日射の入り方が全く変わってきますので、

しっかりとした検討が必要になってきます。

 

そして、例え真南であっても建物は常に草原に一つ建っている訳ではありません。

向え側に高層マンションがある場合もあります。

 

近隣の建物の影が計画建物にかかり、日射取得の邪魔をする場合も

都会などでは大いに起こります。

 

 

日射取得するには?

日射取得

日射取得するには、まず最初に敷地の検討が大切になります。

建て替えの場合では、敷地の検討をすることが出来ませんが、土地探しからの場合は

日射取得出来る土地なのかも検討しましょう。

 

一般の方々では、その判断は難しいと思いますのでご依頼する設計事務所、

工務店に敷地調査をしてもらうのが良いかと思います。

 

簡易に調べるものとして、スマートフォンのアプリがあります。

スマートフォン越しに空を見ると365日の太陽が通る位置が分かります。

これにより敷地に立ち、スマートフォンをかざす事で日射取得を

邪魔する建物がないかの検討は出来ます。

 

最低でもこれくらいのチェックは行うのがいいかと思います。

 

検討するアプリの代表例。

サン・サーベイヤー

サンシーカー

 

更に深く日射取得を検討していくのなら、現在は色々なシュミレーションソフトがあるので、

計画建物に対してどれだけの日射を取得出来るかの検討をおこなってもらうのが良いと思います。

 

また、窓の大きさや窓ガラスによっても取得率が大きく変わります。

特にガラスの種類の検討は必須かと思います。

 

敷地が南向きでない場合も設計者の設計力や工夫により日射取得をする事は出来ます。

なので、南向きの土地にこしたことはありませんが、

その他の向きの土地がいけないという事もありません。

 

太陽の動きから考えると日射取得の為の窓は南側に多くなります。

 

東や西でも日射取得は出来ますが、取得する量は南に比べると断然少ないものとなります。

また、熱が入ってくるという事は、逆に熱が室内から逃げるという事も示していますので、

その窓の熱収支も大切になります。

 

南側の窓では大きくプラスに計画出来たとしても東西は取得した熱よりも

損失する熱の方が多いかもしれません。

 

 

日射遮蔽とは?

日射遮蔽とは日射取得の反対を意味し、室内に太陽のエネルギーを入れない事をいいます。

 

皆様も経験をしたことがあると思うのですが、冬の晴れた日に窓際が暖かく気持ちいいな。

と思った事はありませんか。

 

これは、日射取得の恩恵ですね。

 

その逆の夏に窓際で太陽のエネルギーをモロに受け、暑い思いもしたことはありませんか?

 

あの堪らなく暑い窓際。この状態は、冬と一緒で太陽のエネルギーを取得しています。

その結果として室内環境が悪くなっています。

 

夏季は太陽のエネルギーを遮る必要があります。

その遮る行為を日射遮蔽と呼びます。

 

日射取得のみが出来ていたとしたら。冬は暖かいかもしれません。

しかし、夏も暖かい。っていうか暑い事になります。

 

冬は、太陽のエネルギーも室内の家電が発する熱も人間の熱も

室内の熱の話をすると全てプラスになります。

 

しかし、夏の場合は全てがマイナスになります。

室内で発生する熱は仕方がなかったとしても、外から入って来る熱は遮らなければなりません。

 

 

日射遮蔽するには?

では、日射遮蔽するにはどうすればいいのか?

また、遮る位置はどこがいいのか?

 

皆様のお家にもカーテンはあると思います。

日射が入って来る場合、カーテンを閉めて遮る事も出来ます。

しかし、よく考えてみて下さい。

カーテンは室内側に設置されます。なので、外から入って来た熱をカーテンで

止めているという事になります。

 

これは、熱が入って来ているという事になりますのでよくありません。

 

日射を遮る場所は、窓よりも外で行うのがベストです。

外で行えない場合は、室内側で検討をしてください。

 

外のカーテンは皆様も見た事がないと思います。

その通り、外用のカーテンはありません。

 

しかし、日本の住宅は昔からある程度の日射遮蔽をおこなってきています。

 

その一つとして「庇(ひさし)」です。

 

窓の上などについている小さい屋根のことですね。

これにより日射を遮る事は出来ます。

 

しかし、庇は全ての日射を遮る事はできません。

庇の出幅や窓の大きさによっても変わってきます。

 

また、南向きはこの庇でもたいていの日射は遮れますが、

西日のように横から差してくる日射には対応が出来ません。

 

その他として、「よしずやすだれ」これも皆さん見たことがあると思います。

窓前によしずやすだれを配置することで日射を遮る事は出来ます。

また、コストとしてもお安いのではと思います。

 

最近では、キャンプをする人が増えましたので、

「タープ」を張って日射遮蔽をすることもあります。

日射遮蔽

※タープとアサガオによる日射遮蔽

 

すだれやよしずよりもコストは上がりますが、窓の外に付ける「ロールスクリーン」もあります。

 

そして、さらにコストは上がりますが、「外付けブラインド」という商品もあります。

これは、その名の通り、窓の外に取付けるブラインドで、

ブラインドの羽根を動かす事で、日射だけを遮り、風景を見る事ができます。

 

逆に日射だけを取り入れ、視線を遮る事も出来る商品です。

日射遮蔽

※上3枚の窓がロールスクリーン、右下2枚が外付けブラインド

 

外付けブラインド

外付けブラインド

※1枚目は外側から、2枚目は内側から

 

この様に日射遮蔽は日射取得よりも検討しなければいけない事が多くなります。

遮蔽しすぎると冬季に影響を及ぼしてしまったり、

しっかり出来ていないと室内の温度が上昇する原因になります。

 

特に寒くない地域は、日射取得と日射遮蔽はセットで考えなくてはいけません。

 

最近では、庇や軒などが無くなってしまった四角い箱型の住宅も増えています。

日射取得や日射遮蔽を考えるとあのようなカタチは非常にまずいカタチになります。

 

 

まとめ

日射遮蔽や日射取得は住宅を高気密高断熱化にして性能を高めるからこそ威力を発揮します。

 

もちろん高気密高断熱化が図れていない住宅でも効果は大きくあるのですが、

しっかり性能を高めて日射取得・日射遮蔽を計画しましょう。

 

日射取得を検討するのは、土地探しからがベストです。土地を購入する前に敷地調査の一環として、

日射取得が出来る土地なのかをチェックしてもらうのが良いと思います。

 

また、UA値(外皮平均熱貫流率)は日本の断熱性能の基準ですが、

例えこの数値が良くても日射取得や日射遮蔽を無視すると寒くもなりますし暑くもなりますので、

数値以上にこちらの検討が大切です。

 

日射取得や日射遮蔽の大切さを知ると、この2つを徹底しがちになってしまいます。

 

南側には日射取得の為の大きな窓が並び、その他の面の窓は小さくなる傾向があります。

しかし、お家づくりはこれがすべてではありません。

 

日射が取れる南側以外の面にもとても良い風景が広がっているかもしれません。

その良い風景を捨ててまで、日射を取りに行くのはお家づくりとして違うと思います。

 

窓から入ってくるエネルギーを活かしつつも窓から得れる豊かさも大切にしましょう。

 

 

 

 

 

日射取得・日射遮蔽を徹底的におこなって建てられる「パッシブハウス」についてはこちら

「パッシブハウスってなに?!」をご参照ください。

 

 

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