地盤改良工事って何?!
こんにちは。アティックワークスの北川です。
新しく家を建てると決めたとき、地盤はとても大事です。調査で地盤が弱いことがわかってもその土地にあった地盤改良工事を行えば安心して住むことができます。
今回は地盤改良についてご紹介します。
この記事の目次
地盤改良工事
住宅建設地の地盤が弱かった場合、建物を安全に支えるため地盤補強工事を行います。
住宅の基礎となる地盤を適切な状態にする事が『地盤補強工事』です。
地盤が弱いと、時間が経過するに従い地盤沈下が起こり、建物が崩壊する危険性が高まります。
地盤調査
地盤調査は、住宅を建てる前にその土地(地盤)が建てようとする住宅の重さに耐えれる土地か、液状化の危険度などを調査することです。
住宅の重さは建物階数や構造、使用する材料などで異なるため、どのような住宅を建てるか決まってきた際に地盤調査をするのが基本となっています。
2000年の建築基準法の改正、同年施行の住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により、新築物件の場合、実質的に地盤調査が義務付けられました。
家を建てる際に行われる地盤調査は、地盤の強さを調査し、問題なく家を建てられる土地であるかを知ることが目的です。
調査の中で、地盤の強さ以外に昔からある土地なのか切土や盛土などあとから造成された土地であるのか、地下水位の把握、液状化が起こる可能性、地層の種類などがわかります。
地盤調査の結果から、地盤に合わせた基礎を判断したり、結果によっては地盤補強工事を行う必要があります。
スウェーデン式サウンディング試験
SWS試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)は1917年頃にスウェーデン国有鉄道で採用されました。日本では1954年頃に堤防調査で採用。操作が容易で迅速に操作ができる為、大手ハウスメーカーなどで採用されます。現在でも戸建住宅などの地盤調査で最も用いられています。
※より適切な判断のためにはサンプリングや水位測定などの複合調査も必要ですのでご注意ください。
SWS試験が採用される理由は?
戸建て住宅では不同沈下が最も多く発生します。
不同沈下になるとドアがきちんと閉まらなかったり、びー玉を転がすと一か所に転がるなど。
SWS試験では地形・地層情報とともに、液状化・不同沈下の危険度を調査します。
先にも述べたように、数値だけでは判断せずに、地形地層に関する情報を的確に把握し・検討することが重要です。
①地形
②敷地前歴(水圧・宅地)
③盛土・擁壁の経過年数、盛土材料
④障害物の有無
⑤近況状況(建物クラック、水路)
求められる地形・地層情報は戸建住宅の沈下原因と密接に関係しています。
上記1~5に+してSWS試験データにより支持力検討・沈下検討を行います。
令和2年10月26日のJIS改正(JIS A 1221:2020)により、スウェーデン式サウンディング試験の名称はスクリューウエイト貫入試験となりました。
地盤補強工事の種類
地盤補強工事には主に3つの種類があります。
①地盤改良
②小口径杭
③その他
上記より地盤や建物に合わせて選定します。そのためにまず建設する四隅と中央にあたる5つの箇所を調査するのが基本です。地盤の軟度合いや建物の大きさ、重量に合わせて工法を検討する必要がある中で、3つの地盤補強工事を見ていきましょう。
表層改良
セメントを使用しておこなう地盤補強工事のことで、浅層混合処理工法とも呼ばれます。バックホウにより、セメント固化材と現場の土を混ぜ合わせ、面上に改良する工法。
種類としては、地盤改良に該当します。
表層から下部2.0m以内の良好な地盤がある場合に適用が可能。
特徴
・残土が多く工事日数がかかりコストが高くなる
・均質に混ぜる技量が必要なため、品質に差が出る
傾斜地や地下水位が高い地盤や腐植土や黒ボクなどのセメント固化を阻害する土がある場合、擁壁や近隣建物に近すぎる場合、六価クロムの溶出する地盤では不適用となる。
柱状改良
円柱状に地盤を固めた改良杭によって支える地盤補強の事で、軟弱な地盤の深さ2~8mの場合に用いられる工法。
種類としては、こちらも地盤改良に該当します。
湿式柱状改良工事
軟弱地盤の土にセメントミルク(セメントと水を混ぜたもの)を注入撹拌し、地中に柱状の改良杭を作る工法。
上記の通り、軟弱層が2~8mまで分布しているときに適用される。
建築物の規模によって、直径φ500㎜~1000㎜程度の柱状の改良体を造ることで、地盤の支持力を高めることができます。
特徴
・コストが安い
・1本あたりの支持力が高い
・残土は多少出る
・セメントミルクを吐出しながら地中を掘削するため擁壁などが近接するとき、動かす可能性がある
・黒ボクの腐植土では固有不良を起こす
・六価クロムが溶出する土がある
メリット
・短期間で強度を得ることができる
・支持地盤がなくても施工可能
・鋼管杭と比較して低コスト
・規格が小型のため、比較的狭いスペースにも対応可能
・入手しやすい固化剤を使用しており、土質への対応範囲が広い
デメリット
・作業にあたり吸水設備が必要
・産業廃棄物などが混在する地盤は、攪拌翼での制限がでるため、事前に撤去し良質土と置き換えておく必要あり
・腐植土に場合は強度が得られない為、配合試験をし添加量を決定する必要あり
乾式柱状改良工事
一般的に1.0m~3.0m程度の柔らかい層に採用します。
乾式柱状改良は素掘りし、筒状に土を出します。
掘った土をバックホーで地表に混合攪拌し、改良土を改良孔に戻しオーガーで再攪拌し詰めていきます。入念に攪拌し、杭頭部まで混合攪拌が出来たら杭頭処理をし完了。
メリット
・施工時に土本数の土質を目視する事が出きる
・一度素掘りし施工するため近接する構造物への土圧が湿式に比べ軽減できる
・地中へスラリー状の固化材を注入せず施工するため発生残土が比較的きれい
・建柱車で施工するため、専用の施工重機の運搬コストがかからない
小口径杭
鋼管杭
軟弱層が比較的厚く、通常の混合処理では施工が難しい場所などに、小口径鋼管を地盤内の支持層まで打設して建物荷重の支持杭として利用するものです。
特徴
・残土が出ない
・腐植土にも対応
・セメント不使用なので六価クロムが出ない
・擁壁や近接工作物への影響が小さい
・液状化対策工法となる
・コストは高い
・N値>15以上に支持層が必要
木杭
現在の地盤補強用の丸太はスギ材の樹皮を除去した状態で使用、
音や振動がでないよう、アースオーガーと呼ばれる地盤に穴を掘る螺旋状の装置を備えた重機を用いて杭より少し細い穴を地面と垂直に先掘する。次いでその穴の真上にくるように調整したのち、丸太上端に重機で圧力を掛け丸太を穴へ押し込む。最後に丸太上端に重機で圧力をかけ丸太を穴へ押し込む。
丸太を用いた地盤補強工法は工事によって二酸化炭素が吸収される。すなわち大気中の二酸化炭素を減らせることが示されている。
北海道、東北北側で採用されている事が多い。
特徴
・残土が出ない
・腐植土にも対応
・セメント不使用なので六価クロムは出ない
・コストはやや高い
・圧入するため中間層が礫などで固い場合は施工が困難となる場合がある
その他の工法
シート工法
軟弱地盤でも対応可能
特徴
・狭小地や埋蔵文化包蔵地でも施工可能
・将来的に撤去が簡単
・砕石とシートのみ利用するため環境にはよい
・腐植土の圧密が終息していること
・液状化に弱い
・新規盛土や軟弱層のバランスが悪い地域は適応不可
EPS工法
軟弱地盤でも対応可能
特徴
・狭小地や埋蔵文化財包蔵地でも施工可能
・将来的に撤去が簡単
・腐植土でも対応可能
・セメント不使用なので六価クロムはでない
・液状化には弱い
・残土が多く、コストは高い
・擁壁底版上に施工すると危険
砕石パイル工法
杭状に掘削後、地盤に砕石を詰め込み柱を形成
特徴
・自然砕石を杭状に置換するので環境には良い
・セメント不使用なので、六価クロムは出ない
・摩擦の効きやすい砂系の地盤には特に向いている
・腐植土や有機質土など空隙の大きい土には向かない
・残土は多い
・杭長は5m程度まで
まとめ
新築の住宅を購入する上で地盤は切っても切り離せない関係です。
地盤補強工事にはさまざまな工法があることをお伝えしました。地盤が良い土地に建築する事が出来るのならそれがベストだと思います。
しかし、地盤が良くない地域もたくさんあります。その中で安心して暮らしていく上で、もちろん建物は重要です。
その建物が載る地盤も非常に重要だという事を知っていただければと思います。
建築する前に、その場所の地盤がどういう状態なのか。地盤補強にはどれくらい費用がかかりそうなのか。
そんな事も考えながら土地探しをしていただければと思います。
耐震等級3については、
「耐震等級3とは?!」を参照ください。
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